今年も受験シーズンとなりました。
すでに進学先が決まっている人以外は、悩み、自分自身と闘い、時間と戦い、心落ち着かない日々を過ごしていることと思います。
あとは残された少ない日々の中で、何に取り組み何を身につけていくか、それぞれの選択が道を決めていくことになります。

入試対策のデッサンに取り組む時、モチーフに何を選ぶか。
これも大きな分かれ目となります。

よく、志望校の過去問を参考にモチーフを選びますよね。
これは当然と言えば当然なのですが、同時に、「過去数年の間に出題されたモチーフは今年は出ないんじゃないか」と思うはずです。
過去問から傾向を読み解き、「このようなモチーフの組み合わせになる可能性が高い」とも考えるでしょう。
実際に多くの場合、学校によって傾向はあります。
ただ学校側も受験生の実力を測ることが目的ですので、誰もが思いつき簡単に対策できてしまう試験内容にはしない場合が多いとも感じます。

意表をついてくるのです。

なぜ今年はそのモチーフだったのか…
なぜ今年のテーマはそれだったのか…

と後で感じることもあるわけです。
面接でもありますよね。
「面接の練習をたくさんしてきたのに、全く予想していなかった質問で意表をつかれた。」
とはよく聞く話です。

デッサンのモチーフも同じで、「去年までの傾向と全く違うモチーフが出た!」と言われることがあります。
そのようなモチーフと出会うと焦ってしまう人もいるでしょう。

でも、そもそも「そういうものだ」と思った方がいいです。
学校側は実力を見たいのです。

実力とは何なのか。
・磨かれたセンス
・苦しくても頑張った努力の蓄積
・臨機応変に対応できる力
そういったものの総量とバランスと言えるかもしれません。

対策できていないモチーフを描く絵は、その人の実力に近いものになります。
しかし、焦ると思ったように実力が発揮できないものです。
どんなモチーフが出題されても焦らないように、対応力を上げておく必要があります。

では、対応力を上げるにはどうしたら良いか。

全ての学びを組み合わせて生かすことです。
細かな一つ一つの経験を頭の中の引き出しから引っ張り出して、掛け合わせて応用するのです。

そのためには、普段から些細な作業でもなんとなくこなすのではなく、目的を持って行うことが大切になります。
デッサンであれば、一本一本の線に役割を与え、意味のある描写を心がけることです。
勢いに任せて感性だけで描くのではなく、頭の中で順序立てて組み立て答え合わせをしていきます。
その結果、仮に失敗しても「失敗」という貴重な経験値が残ります。
本番では「あ、これをやると失敗するからやってはいけない」と気付けるはずです。
なぜ失敗したか分からなければ、失敗は経験であっても経験値とはなりません。
成功も同じす。
これは、絵を描くのが好きな人ほど気を付ける必要があるかもしれません。
絵を描くのが好きな人は、考えなくてもある程度気持ち良く描けてしまいます。
なぜ上手く行ったか、なぜ上手くいかなかったか、言語化せずにどんどん描き進めてしまいます。
「失敗するかも」と直感が訴えてきても、描いている時の気持ち良さに勝てず、走り続けてしまうのです。
この状態だと経験を生かしにくくなります。

コツコツと積み上げてきた経験値を掛け合わせれば、未知のモチーフにも焦らず冷静に対応できます。

【まとめ】
 入試デッサンでは、想定していたモチーフが出題されるとは限らない。
 未知のモチーフに対しては、分析し、過去の経験を引っ張り出し、掛け合わせ応用する。
 そのためには、普段の一つ一つの作業を目的を持って行う。
 成功も失敗も経験値となるよう、答え合わせをしながら進める。

進学した先では、今よりもさらに楽しく絵を描ける環境が待っています。
努力を楽しみ、挑戦を楽しみ、経験値を積み上げ、また一歩、前進する日々を過ごしてください。